任意売却の相談の段階でも、勉強されている方が増えてきたようで、マイホームを売却して残った債務については、「チャラになる!」 なんて考えている方は少なく、支払い義務は残るということは認識されている方が増えたように思います。ただ実際の支払い方法については金銭消費貸借契約を再締結して、分割で支払っていくとお考えの方もいらっしゃいます。
本当にそのようなことになるんでしょうか?
可能性はゼロではありませんが、毎月の住宅ローンの支払いが苦しくて、延滞を繰り返して期限の利益を失い、全額繰上げ償還請求(一括請求)されている状況ですから、不動産を処分して残った債務についても、当然一括返済しなければいけません。
でも一括で返済できるくらいの資力があれば、そもそも延滞しないですし、売るような話にもならなかったわけですので、払えるわけがないというのが現実です。
一方、債権者側の立場としては、支払いできないのは難しいと分かっていても、「もう払わなくていいですよ」 なんて言えるはずもありません。そういった双方の思惑が交差する中で、債務者側から
「払いたいんですけど、当面は生活も安定しないので月々数千円ずつで、、、」
と伝えることで、債権者側としては、競売になるより任意売却の方が配当が多くなるので、
「しばらくはそれで仕方ありませんね」
渋々?かどうかはわかりませんが、話がつくのです。
と、前置きが長くなりましたが、売却後の支払いを公正証書で再契約して、分割で支払わせるケースもございます。
今回は、連帯保証人の不動産を共同担保に取られていて、首根っこをつかまれている状態でしたので、残ったものは分割で支払いたいと事前に話し合いをしていたため、公正証書作成にも同意しました。
幸いにも高めの金額で購入者が見つかったため、残債務は約300万円となり、月5万円程の5年払いということになりました。連帯保証人のお父様の家(実家)を、取られるわけにはいきませんし、500万円以上は残るかもしれないと考えていたため、その点では良かったのかなと思います。
そして別件ですが、またその保証会社から公正証書の話がありました。社内の流行なのでしょうか? 公正証書の話なんて今まで一度もしてこなかったのに、2件続けてこのような話があると今後もあるのかと勘ぐってしまいます。
「そこまで追い詰められるんだったらそもそも任意売却自体も辞めます」
と言って、今回は分割の念書程度で済みましたが、ここまで本気で取り立てられる案件が増えると、任意売却をする意味を考え直さなければいけない時がくるかもしれませんね。