
「他社不動産業者に任意売却を依頼しているけどうまくいかない」
良くある相談ですが、今回は自己破産を弁護士に依頼して、破産管財人も選任されているケースです。
破産管財人とは、破産手続開始の決定と同時に、裁判所が選任する弁護士(裁判所に選任候補として登録されている弁護士)のことで、この破産管財人によって、債務者(破産申立人)の財産の「管理・調査・評価・換価・処分」を行い、各債権者に債権額に応じて配当手続きを行います。
破産管財人は、大手T不動産販売に売却依頼をしていました。売主は引っ越ししてしまうと家賃がかかるため、売却するまではそのままその不動産に住んでいたかったのですが、T社からは、販売するためにはすぐに引っ越してくれないと困るということで、早急に引っ越し先を探して、2週間後には引っ越ししたのです。
そこまでするからには、すぐに売れるのかと思っていたそうですが、1か月たっても、2か月たってもT社からの連絡はありません。管財人に状況を聞こうと連絡をいれても、打合せ中などで折り返しの連絡もありません。早く破産手続きを終わらせたいのに時間だけが過ぎていき、販売開始から4か月たったある日、管財人から 「不動産売却の件は放棄しました」 と連絡が入ったのです。
売主にしても???
な話です。
そんな状況で、困って私のところへ相談にやってきたのですが、
「破産管財人が売却を辞退するなんてどうしてなんですか?
何かあったんですか?」
矢継ぎ早に質問を浴びせられて、言葉を詰まらせていました。
管財人が放棄するなんて、売主(債務者)側に問題があったのではないかと悪意はありませんが、ついつい勘ぐってしまいます。色々と話を聞きましたが、やはりはっきりとした理由がわからず、このまま売却依頼を受けるのもなんか気持ち悪いので、管財人に電話してみます。
「あのー、不動産の売却依頼受けたので確認なんですが、管財人辞退したと言うのは、間違いありませんか? 」
「こちらはすでに辞退していますので、関係ありません。お好きにどうぞ。」
詳しく聞いてみると、売却しても住宅ローン残を超える金額で売れなく、他の債権者に配当がないのがわかったため、辞退されたとのことです。
今更なんでしょうけど、きちんと販売をしていれば、配当のある金額で売却できた物件だと思います。管財人の販売方法に文句をつけても仕方がありませんが、ちゃんと仕事してほしいものです。
そんな管財人ですが、計算書を見ると当然と言えば当然かもしれませんが、不動産屋のように成功報酬ではないので、辞退しても破産管財人報酬はしっかり持っていくんですね。
破産管財人辞退後、売却依頼を受けて約2か月で決済を終えることができました。