不況つけこむ悪質業者 高く売りたいマイホーム 「任意売却」慎重に
(yahooニュースより)
不況による収入減で住宅ローンの支払いが滞り、自宅が競売にかけられるケースが増えている。そうした中、競売を回避し、住宅を少しでも高く売って残債務を減らそうと、不動産業者が仲介する「任意売却」を選択する人が目立ってきた。引っ越し代を捻出(ねんしゅつ)できるケースも多いが、所有者の弱みにつけ込んで手数料だけを先に取る悪質な業者もいるという。「慎重な判断」を促す声があがっている。
「任意売却に関する相談件数は前年比で倍以上。深刻な経済状況が一番の要因でしょう」
不動産業「レフォルマ」(東京都港区)の伊藤光記社長は、最近の任意売却への注目度の高さに、驚きを隠さない。
任意売却は、住宅ローンなどの支払いが困難になったとき、不動産業者が、所有者と金融機関を仲介し、買い主が納得できる価格で売却を成立させる取引。裁判所の競売では売却額が相場価格より「2~3割安くなる」(不動産関係者)が、任意売却は競売よりも高くなり、少しでも残りの住宅ローンを減らしたい債務者にとってはメリットがあるとされる。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が平成20年度に競売をかけた件数は、前年度より35%多い1万6577件。ただ、滞納が始まってから競売までは約1年かかるため、それまでに任意売却をすすめているという。
その任意売却に目をつけ、“詐欺的行為”を仕掛ける業者もいる。
「一般的に『売却額の3%』とされる仲介手数料は、売却成立が前提となるが、『前金』と称して手数料を取り、その後に売却が不成立となるケースもあったという。少しでも高く売りたいという心理につけ込む手口だ」
都内の不動産業者はこう話す。
悪質行為が増える背景には、不況で仕事が減った不動産業者が、専門知識がないのに任意売却に新規参入し始めたという業界の事情もある。
深刻な不況の長期化に伴い、住宅ローンの滞納と、それに伴う任意売却、競売のケースは今後も増加するとみられる。
レフォルマの伊藤社長は「住宅ローンの滞納者は、気が引けて誰にも相談しないケースがあるが、実はそれが一番よくない。滞納してからではなく、支払いが厳しくなった段階で、金融機関などと相談すべきだ」と計画的な行動をとるよう促している。